2014年7月2日水曜日

「地域力創造と地域おこしのヒント」第5回

総務省が開催している連続講座「地域力創造と地域おこしのヒント」
第5回目の講義を受講してきました。
今回の内容はそれなりに身近に感じることができる内容でしたが、
非常に考えさせられる内容でもありました。

これまではどちらかというと、「地方は人が足りなくなって大変だから、
色々な試みで地方を何とかしていきましょうよ」って内容が多かったので、
私の目線もそっちに向いていたのですが、今回は「お金について」でした。

今回講義してくださった方曰く「消滅可能性自治体とかニュースになりましたが、
人がいなくなって消滅する前にお金なくて大変なことになるよ」って感じのようです。

まず昨日の講義資料内にあった数字で、むむむっと思ったのが、1990年から2013年までで、
国民所得はほとんど横ばいなのに、社会保障給付費は2.3倍に増えています。

社会保障給付費は、国民が払う社会保険料と税金が基本的な財源になるわけですけど、
社会保険料はご存知の通り増加していて1.6倍に増えていますが、税収は0.8倍と減っています。
この両者を足した、つまり社会保障給付費の原資は1.1倍にしか増えてません。

払う分は2.3倍に増えたのに、入ってくる分は1.1倍にしか増えてない。
そりゃ足りなくなっちゃいますよね。税金は他にも色々使われるわけですし。

足りない部分は借りるしかないので、国債を発行するわけですよね。
その結果、国債の発行額は7.2倍に増加しています。

特に地方では、人が働いて稼ぐ金額に対して、高齢者が年金としてもらってる金額の比率が
非常に高くなっていて、本来では賄いきれない比率なのだそうです。
それでも何とかやっていけているのは、今はまだ大都市圏がたくさん稼いでいるから。
大都市がたくさん稼いだ分を、地方に分配することでなんと賄っているのです。

しかし大都市でも高齢化は急激に進んでいて、大都市圏の稼ぎで地方も賄う、
という形はもうすぐ不可能になるよ、ということだそうです。

ではどうするか。

「地方は地方で持続できるように稼ぐしかない」ということになるわけです。
そのために総務省は「地域経済循環創造事業交付金」ってのを用意してるよ、ということでした。


地域に根付いた金融機関は、地域の事業に投資(融資)して、その事業主の相談に乗ったり
アドバイスしたり取引先を紹介したりと支援して、地域の資金を循環させるのが責務のはずが、
現在は預金として預かったお金の多くを国債や地方債といったリスクが低く
安定したものに使っているのだそうです。

講義で「国債は国民が背負っている、一人当たりの返済額がわからない借金だ」
というようなことが言われていました。
金融機関は融資しなどころか、預かったお金を国民の借金を増やすことに使っているわけですね。

これじゃいけないだろう、と。
しかもその借金を利子つけて返済するためには税収を増やさなくてはならない。
だから資金を循環させていっぱい稼がないといけないんだ!と。

そのために国は地方金融機関に、少しでもいけそうな事業は思い切って融資するよう言う。
言うだけじゃなかなか融資しないので、例えば事業に1,000万円かかるとして、
その全額を融資するのは難しいのなら500万円だけでも融資してくれれば、足りない分は国が
「地域経済循環創造事業交付金」ってことでどんと負担しようじゃないか、と。

理解が足りなく間違っているかもしれませんが、そんなようなことだと理解しました。


この「地域経済循環創造事業交付金」は返済不要だそうです。
新しい事業起こして儲かってくれれば、その税収でペイできる、という考えとのこと。
税収だけじゃなく、地元雇用創出効果だとか地元産業直接効果だとかもあるし、
何よりこれによって地方金融機関が融資をすれば資金の循環も始まるわけです。

これってかなり思い切ったことだと感じました。

だからこそ、本当に日本はせっぱつまってきているのだろうとも感じました。

「地域おこし協力隊を3倍にする」ということも然りです。
地方の人口減少もせっぱつまっている。
だからこそ色々な手段で都会の人を地方へ移動させようとしている。

そして人の面だけでなく、お金の面でもこのままだと大都市で地方を支えている
今の構造も崩壊してしまうから、まだ若干でもお金にゆとりがあるうちに、
大盤振る舞いしてでも事業をたくさん創出させて、資金を回そうとしている。
(「ローカル10,000プロジェクト」と銘打って、10,000社の起業を目指すんですって)

なんだか本当にリミットが近づいてきているのだなぁ、と
この連続講座を全部受講し終えて実感しました。

まだまだ消化しきれていない部分が多いのでまとめきれませんが、
とにかくこの連続講座では色々と学び、考えることができ、非常に有意義でした。

ありがとうございました。

0 件のコメント:

コメントを投稿